全国のみなさんお待たせしました。
東京芸大デザイン合格者インタビュー中川さん第2部です。
各予備校ともゴールデンウィーク後の授業開始となりましたし、
外出も控え家に居ることが多い生活の中で少しでも参考になったり、
楽しんで読んでもらえたら幸いです。
なので当初予定していたより掲載する作品画像やインタビュー内容のボリュームを
増やすことにしたのでアップ遅くなってしまいました。すみません。
中川未子さん(平日専科生)
東京芸大デザイン科合格(現役合格)
※直前講習で描いた中川さんお気に入の1枚とともに。
Q. 入試の時にお昼ご飯にかけた時間と何食べたか教えてください。
※東京芸大デザイン科の入試は決められたお昼時間1時間の使い方は自由で、制作してもよいです。
中川:一次試験ではデッサンに手を加えながらおにぎり2個を食べました。実際手を止めて食べた時間はたぶん5分くらいです。
二次試験の色彩は一次試験と同じおにぎり2個だったのですが、色彩では時間もないしうまく出来ないと
焦っていたので一旦落ち着かせようと食べたのですがやはり時間が足りないので
本当に5分くらいでダッシュで食べました。笑
でも急いだけど食べたことで少しは落ち着きました。笑
形体の時は形態を変更したことによって時間がなかったことと、あとすごく集中していたせいか、
食べる気が起きなかったので食べませんでした。
※三学期最初の中川さんのデッサン。重厚でかっこいいです!
Q. 東京芸大デザイン科の一次試験の鉛筆写生は石膏像を含むデッサンと構成デッサンを選択できるけど、石膏デッサンを選んだ理由を教えてください。
中川:初めの頃は、石膏を描く意味やデッサンをする理由も分からず、石膏像の方が楽しいかもという単純な理由で決めました。
本当に深くは考えていなかったです。
Q. 石膏デッサンで得られたものを教えてください。
基礎を学ぶことができたと思います。
空間の出し方や見せ方がある事を知ることができました。
※直前期の中川さんのデッサン。年間通して石膏像だけを描いていたわけではないです。
モチーフどうしの関係を見極めながら一枚の作品として生き生きと仕上がっています。
Q. 短い期間で受かる為に年間通して気をつけていたことや、気にしていたことを教えてください。
中川:経験値もなく、初歩的な事から学ばないと行けない中、時間は無いのでいかに効率良く吸収できるかという事を常に意識していました。
疑問に思ったり、講評でも理解が出来ない時は、授業後に先生に質問ばかりしていました。
あと、ずっと挑戦していました。
上手く出来なくてもいいから、なんでも試してみる、思った事は取り敢えずやってみようとチャレンジした分、失敗する事の方が多く気分も凹みますが、失敗した時の方が学べることも多かったと思います。
まずはいろいろ真似してやってみて、そこから自分に合うか合わないか、必要か必要じゃないか、なぜそうしているのか、論理的に考え吟味しながらやっていました。
いつも頭の中はパンパンでした!
※いつもチャレンジして毎回楽しませてくれた中川さんの色彩たち。
どれもモチーフの魅力がグイグイ伝わってきますし、個性的です。
Q. 実技を始めたのが遅かったのを気にしていた時もあったけど自分の中でどう解消していきましたか?
中川:やり初めはまだ美術のことをぜんぜん知らなかったので、技術が無さすぎることに自覚がなく
伸び伸びやっていたけれど、だんだん分かってくるうちに自分の技術がどれほどのものなのかを知り、
試験本番まで10ヶ月もないという事実と重ねたときに焦りと不安を感じました。
でも教授は一年だからと言ってハンデはくれないので、自分がそこまで行くしかないと決心し、誰よりも早く吸収してやるぞという気持ちで取り組むことにしました。
たくさん考えながら自分なりの合格最短方法を研究し、着々と上達できていた時は希望も見えてきました。
でもやはり、不安はどうしても残ってしまいます。
自分のメンタルが沈むことはいけないと思っていたけれど、沈んだ時にどん底に行かなければいい、どん底に行く前に立ち直れる方法を知っていればいいということに気づいてからは、不安が大きくなる時もあったけれど、それを自ら受け入れて、受け入れた上で出来る事はしっかりやろう、と思えるようになりました。
そうやって、自分を受け入れられるようになってからは、気持ちの面で上手にコントロール出来るようになったと思います。
※不安の内容はそれぞれ違いますが、誰しもが何かしらの不安はあります。
技術も必要ですがメンタルのコントロールもかなり重要ですよね。
※一学期の形体。時間の中での作業配分が分かっていなくて作りがあまいところもありますがこの時もやりたいことははっきりしていました。
Q. 誰しも色んな観点で自分を他人と比較して時には落ち込んでしまう人もいますが中川さんはどうでしたか?
中川:絵の事をよく理解していない、塾に入りたての頃はあまり意識していなかったのですが、深く学んでいくうちに自分の技量のなさを思い知らされ、周りの作品と比べてしまい落ち込む事が何度かありました。
塾に行くのが怖くて絵が描けなくなった時期もありました。
そんな時先生の言葉で、「人それぞれの絵があるんだよ」というのを思い出し、作品は「縦ではなく横なんだ」と気づき、私は私のまま伸ばしていこうと思い、比べるのは昨日の自分!と、思えるようになりました。
※何事も自分の欠点の方が誰しもが気になりますよね。
そして自分のいいところは自分では気づきにくかったりします。
他人からすると本人が思ってるほど特に欠点にもみえなかったり、落ち込む時間があるなら
出来るようにする時間にすればって思うんですけど、自分なりの解決方法をもっておけるといいですね。
※直前期の立体作品。上の一学期の時の立体より制作時間は短いのですが作品としての
完成度は上がっています。
Q. 入試間近はどんなことを考えて課題に取り組んでいましたか?
中川:常に本番を意識!! ただ、ここは本番、会場...ではなくもっと具体的な事です。
※ 1月終わりのデッサン。半身像もかっこよく描きますね!
基礎や本質が解っていたり身に付いていれば何が出ても描けるものです。
あとはモチーフを知ろうと思う興味を持つことと、モチーフを絵的にいい感じに描いてあげたいなという気持ちと根気も重要です。
Q. 実技課題以外普段の生活の中で気にしていたことはありますか?
中川:休むことです。
あと、気にしていたと言うか合格したらスプツニ子!さんに会えるとか、やりたい事たくさんできるとか、そういう事を考えていたら自然とモチベーションが上がりました。
※スプツニ子!さんのことどれだけ好きなんでしょうねぇ。
自分のモチベーションになるのならなんでも良いと思います。
モチベーションを上げたり、維持したりするのに目標を達成出来たら
何かできるとか、行けるとか、食べれるとか、買えるとか、
目標と全然違うことでもいいからいくつか持っておくのはよい方法なんです。
ぜひ取り入れてみて!
※大きく描いたスイトピーの花びらの柔らかさや厚み感など魅力的に描けてます!
Q. ときどき息抜きはしていましたか?
中川:映画観たり、友達に会ったり、寝たり、スポーツしたり、科学に触れたり。
※科学ってとこが中川さんらしいですねぇ。
中川さんは科学好きです。好きなものは人それぞれなのでかしこまらなくても良いですよ。
※直前期。この日も途中で少し計画を変更。多かれ少なかれやり始めて気づくことはやっぱりあります。
そこでどう判断していけるかがかなり重要です。
Q. 受験対策の中で苦手な課題やモチーフ、条件はありましたか?
中川:苦手も何も全部初めてだから、全部難しかったです。笑
※端正な佇まいがパジャントらしくかっこよく描けています。
Q. 結果的に思ったように出来るかは別にして作品作る時に面倒くさいと思うことありますか?
中川:ないです。作品の完成が楽しみなのと、せっかく思いついたアイデアだから綺麗に作ってあげたい!
という思いが強いので、意欲やパワーみたいなものが出せているのではないかと思います。
「つくってあげたい」というのは自分が思いついたアイデアを想ってのことです。
上手く行かなかったときはいつも、
「せっかく生まれたアイデアなのに、綺麗に描いてあげられなくてごめんね。」って思います。
上手くいかない事の方が多かったですけれど...。
※中川さん作品の作業してる時に面倒くさそうにしてるとこ見たことなかったので質問してみました。
過程よりも結果を重要視するタイプですよね。
結果的に作品がよい方がいいと思うのでそういう価値観はいいと思います。
中川:あっ!!でも絵具のキャップ開けてパレットに出す行為だけはなぜか面倒くさいです。笑
※そ、そうなんですね。分からなくもないけどなぜそれだけなんでしょうね。
もっと直感的に作業したいからかな??
※一生懸命モチーフを観察する中川さん。
繰り返しになりますがモチーフに興味を持ったり、知ろうと思う気持ちが基本です。
Q. 印象に残っている河合塾の先生の言葉を教えてください。
中川:「もっと自分が思ったのを貫いていいんだよ。」
※ 先生なんていいこと言うのでしょう!!!
※なんとも言えないおもしろいフォルムですね。
※オクラのネバネバを紙で上手くデザインしていますね。
Q. 1年は長かったですか?短かったですか?
中川:長かったと思えば長かったし、短かかったと思えば短かったです。
Q. 一年を通して得られたものは?
河合塾に入って本当に良かったです。
得られた事はたくさんありすぎて......まとめられません...。
すべてだと思います。
※ す、すべて!!!
※中川さんの色彩最後の一枚。講評終了後、客観的にみれたことで自分でこれは違うなと
思ったところを躊躇なくすごい勢いで修正していました。
作品の中では役割が不明瞭だったボルトナット20個くらいをせっかく描いたのですが
どんどん潰してまとめてました。
この人の価値は楽か面倒くさいか、今まで作った部分や仕事や時間を大事にするかではなく、作品が良くなることが最も優先されているなと思ってみていました。
自分の作品やそれに費やした時間や労力を大事にすることと、それが良い作品なのかはまた別なのです。
Q. 将来はどんな仕事や活動をしていきたいと考えていますか?
中川:理系アーティストとして社会問題などを人々に訴えたい。
他にもやりたいことは沢山あるけれど具体的にはまだ決まっていないことも多いので
これから大学で学んでいこうと思います。
Q. 最後に河合塾ってどんなとこ?
中川:表面上は美術を学ぶ塾だけど、中身は人それぞれ違うと思います。
私も一言では言えないしなぁ...。
※深いなぁ...。
※最後に入試再現のデッサンと中川さん。
中川さんこれから受験する人たちのためにほんとうにありがとうございました!!
河合塾もいろいろ知れて勉強になりました。感謝しかありません。
これからの活躍も楽しみにしています!
受かり方、学び方、価値観は人それぞれなのであくまで参考にです。
でも、そういう考え方もあるかとか、自分にはない思考だっとか、そういうことを考えているのかとか
取り入れれるとこが少しでも見つかった人は一度取り入れてみてはどうでしょうか?
思考や価値観を変えると実技も結構上手くいことが多いですよ。
次回インタビューもお楽しみに!