今回は東京芸大デザイン・関東私大デザインクラスの塾生作品展で入賞した作品を

出品時に添えた制作意図とともに紹介します。

賞は優秀賞3点、敢闘賞3点です。

今年はクラス内の作品のみでコンセプトと造形の魅力のバランスを考慮して賞を決めました。

入賞した作品とそうでない作品の差は本当に僅差でした。

優秀賞の作品はギャラリーに展示されています。<9/25(金)~10/5(月)10:00~18:00> 

では敢闘賞の作品から

 

タイトル

『断崖ハウジング』

制作意図

「自分の感覚」と「崖っぷち」をイメージしました。

宿題やテスト勉強など、前日まで追い込まれないと手をつけ始めないことから、不安定な断崖をつくりました。

タワー型の集合住宅の安定感と、崖ギリギリに設置した自分の住処の不安定感の両方を表しました。

 

講師談

設定もですがフォルムもユニークです。

なんとも言えないマットな質感も妙に惹きつけられた作品です。

ほとんどの人が断崖ハウジングに住んでいるような気がします。

 

 

タイトル

『茉莉花』

制作意図

4年前、棺の中の亡くなった祖父を綺麗だと思った理由を探し続けて、今の私が出した答えです。

自分が一番綺麗だと思う女の子と一緒に描きました。

この先、また違う答えを探していく上で出発点になる作品でもあります。

 

講師談

内に秘めた気持ちが強く伝わってくる作品で、大きなサイズのキャンバスに油絵で描かれているのも含めてとても印象

的で目に留まりました。

美しさと怖さのバランスが絶妙です。

 

 

タイトル

『オリジナルの愛』

制作意図

消費社会に対する不安感をテーマに制作しました。

私の「好き」という思いが誰かに操作されてるかもしれない恐怖、心の奥底から好きな映画に興奮してもどんなに真剣

に好きな音楽を聴きふけってもそれらを「好き」と思う自分のオリジナル性は証明されなくて、全部見えない誰かに用

意されたものを促されるまま欲望をあおられて与えられたものをとっかえひっかえするだけの存在に過ぎないのかもし

れない。操作された「好き」が形成してきた私の愛しさや憎しみは本物なのだろうか?

 

講師談

白けたトーンやガーリーなモチーフが切なさを演出し、宗教画をイメージさせる雰囲気も相まって自分の感覚とは何か

をより考えさせらた作品です。

コンセプトと表現の一致性がすごくよいです。

 

 

ここからは優秀賞です。

 

タイトル

『耳で見えたもの、目で聴こえるもの』

制作意図

この''音''はどんな風に''見え''ますか?

この''文字''はどんな風に''聴こえ''ますか?

11人が持っている、それぞれの「自分の感覚」を楽しんで欲しいです。

 

講師談

インスタで、ある音をいろんな人に聴いてもらい、その音がどんな音に聴こえたか文字にしてもらったものを視覚化し

た作品。同じ音なのにこれだけ違うとはおもしろい。

たくさんの人の中からバリエーションで8人に絞って制作したそうです。

側面がきれいな木になっているのもよかったです。

その場でそのある音を聴くことができます。あなたはどんな音に聴こえるのでしょうね。

ほとんどの人が自分自身の感覚を表現していましたが、作者はそれぞれの人の自分の感覚を表すことであなた自身の感

覚とは?と、問いかけている発想の柔軟さも光りました。

 

 

タイトル

HERO'S

制作意図

大好きな「スーパ戦隊シリーズ」のロゴは大体太いゴシック体ばかり。もっと別の形で作れたら、新しい視点やイメー

ジができるのではないかと思い、テーマである「自分の感覚」と「主観」を入れてタイポグラフィにし、全戦隊分+α

作ってみました。

 

講師談

この完成度でよくこれだけのバリエーションを作りました!

戦隊もタイポもほんと大好きなんだろうなぁ。というのがよく伝わります。

ひとつひとつの完成度もあるからじっくり楽しめます。

 

 

タイトル

『群れ』

制作意図

「自分の感覚」とされるものの揺らぎや流動性、多くの要素を持ち、そして新しく受け入れて変わっていく定義の難し

さを表現した。

 

講師談

等身大の作品です。

なるほどと思わせるコンセプトを魚を使って表現しているところが共感や想像の幅を広げています。

腹がえぐれていることや頼りなく立っている姿の危うさが見る側の心を惹きつけます。

不思議な質感や色合いに見えるところもよかったです。

 

 

以上です。

 

入賞者だけでなくみんないろんなことを一生懸命考えて制作してくれました。

受験もですが、将来の創作にもつながるといいですね!