今回は今年度東京藝大デザイン科に合格した田中さんにインタビューしました。
この東京藝大デザイン合格者インタビューシリーズの見方や捉え方はもちろん自由ですが、
受験生の方はこういう作品を作れば東京藝大に入れるのかという視点ではなく、
この人はどういう考えで一年を通して作品を作り、メンタルを整え、
試験にどう臨んだのかをみてもらえるとよいかと思います。
表面だけ真似していても本質がわかっていないと応用もできないですし、
それで通用するほど藝大入試は甘くもないです。
ましてやそこに感情や想いのない作品は人を惹きつけません。
ここに掲載している作品も、ある一人の合格者の作品群というだけで
これを描けば合格できるというものではありません。
そしてこれから初めて入試を迎える人には少しでも入試や受験対策の雰囲気が伝わるといいなと思っています。
入試はある程度の基礎力を見られるのと自分をアピールする場です。
大学は作品を通して人となりを見ています。
では楽しんでいきましょう!田中さんはどんな人なんでしょうね!
田中裕希さん(本科生)
東京藝大デザイン科合格
武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科合格
※1月センター開けにに塾の友達と美術館で撮影した優雅な時間を過ごす田中さん。
まるで貴族です。笑
1月にこの余裕とは流石です。楽しむ時は楽しむですね!
Q. 東京藝大デザイン科に合格した今の気持ちは?
田中:今でも少し現実か疑ってしまいますが、ずっと目標にしてきたのでとても嬉しいです。
※田中さんお気に入りの直前講習での色彩。ピックほんと上手いですね!かっこいい。
作品としてもとてもすごくいいですね。
Q. なぜ自分は合格できたと思いますか?
田中:ほどよく息抜きしながら友人にも恵まれていたから。
※田中さんのランチはだいたいこの階段で友達と。
(ちょっと通行に迷惑だったり騒がしかったりした気がしないわけでもないですが。。。)
人との距離の保ち方は人それぞれなので自分でコントロールしましょうね。
ちなみに田中さんは高2から基礎高1・2クラスに通い始め、高3は県外だった高校との時間や距離の都合で日曜専科と土曜ゼミ、そして講習会、藝大1本で一次は通過はしましたが最終合格は残念でしたが、
今年度は本科でさらに一年間しっかり学び藝大合格をつかみとりました。
※田中さんの力作、組みモチーフデッサン。
ちなみにこのマカロンタワー、今年度1つ増えてツインになったんですけど
実は向かって右側は田中さんが作ってくれたものです。
田中さんが作ってくれたマカロンタワーは塾生作品展の田中さんの作品の再利用なんです。
展示終了後、家に作品の置き場ないので処分すると言ったので、
ならタワーにさせてと作ってもらいました。ありがとうございました!!
※これが塾生作品展の田中さんの作品です。お菓子好きなのが後のインタビューでもわかります。
今思えばタコの足もよく作るから水中の生き物も好きだったのでしょうか。
※積極的にマカロンタワーを作ってくれる友達に対してイヤイヤ作ってくれてた田中さん。笑
でもありがとうございました!
Q. 入試でモチーフや課題を見た瞬間はどう思いましたか?
田中:
<鉛筆写生>
奴隷が見えた瞬間は2回しか描いてなかったからちょっと不安だったのですが、
クジを引いた後は直前に描いたのと同じ位置だったので少し安心しました。
<色彩>
任意の円の条件見た時にいいの引いたと思いました。笑
<形体>
すぐにテーマが来ると思ってどんなテーマが来るか、どんな構成にするか考えました。
※どんな課題か誰でもドキドキするものですが、
田中さんにとってはそれなりにいい条件だったようですね。
それは力がついてきたからそう思える部分もあると思います。
※受験対策での田中さんの奴隷のデッサン。なかなかいい感じでした。
Q. 試験の時はどんな状況でしたか?
田中:
<鉛筆写生>
現役の時と違ってゆったり制作出来たし、余裕を持って進められました。
<色彩>
これまで一番やってきた構図にしたので、言われてきたことを思い返しながら冷静に進められました。
前日の課題と近い部分もあったので、前日にやれなかったことをしっかりやりきりました。
<形体>
周囲の人がアイデアや構成に悩んでいる人が多く、自分の案をあまり人に見せないように気を張りながら作りました。
※3課題とも大きなハプニングもなく順調に進んだようですね。
美大の試験は割と他の人の作品が見えてしまうので、気をつけないといけません。
個人的には余計な気を使うから藝大油画みたいに一人一人壁で仕切ればいいのにと思います。
でもそういう弱肉強食的なのを生き残る感じなのも将来のこと考えるといい部分もあるのかなと、
試験自体が変わらないならそう思ってやるしかないですね。
※彫刻専攻との合同塑像などいろいろな課題や体験が出来るのは本科生ならでは。
デッサンで出題される彫刻像を立体、彫刻的観点から新たに知ることが目的ですが、
藝大デザイン科は入学すると塑像の授業があるので予備校時代にやっておくと良いですよ!
※体幹がゆるゆるだった姿勢も彫刻の先生のおかげでこの通り!とにかく視点が大事なのです!
※ドンつきも体験できて大成長!体力も付きいい思い出です。
彫刻の先生方、生徒のみんなありがとうございました。
※日本一の日本画との合同授業でも揉まれ、刺激しあっている田中さん。
日本画の先生方、日本画のみんなありがとうございました!
Q. 一次、最終それぞれ試験終了後、自分は合格すると思っていましたか?
田中:どちらも合格しないだろうと思っていました。
※不安や謙遜はあると思いますが、試験時の順調さからしてそれはないような気がしますよ。
※屋外授業クリムト展のガチャで当たったお気に入りのピンをモチーフに加えた作品。ピン上手いなぁ。
Q. 入試の時にお昼ご飯にかけた時間と何食べたか教えてください。
※東京藝大デザイン科の入試は決められたお昼時間1時間の使い方は自由で、制作してもよいです。
田中:一次はパン2個を15分くらいで、二次はどっちも食べていません。
※二次は集中していたのか、余裕がなかったのか、やり切れるだけやり切りたかったのかみんな必死ですね。
一次より1時間短いのであっと言う間ですよね。
※この後も出てきますが田中さん取り憑かれたように何回も蛸の足を作ってました。笑
課題にあっていれば繰り返し同じものを作って完成度を上げるのも一つの方法です。
でも一つだけでは幅広い課題にはなかなか対応できないのでいくつかは欲しいですね。
Q. 東京藝大デザイン科の一次試験の鉛筆写生は石膏像を含むデッサンと構成デッサンを選択できるけど、
石膏デッサンを選んだ理由を教えてください。
田中:構成は最初にエスキースもしなくちゃいけないので時間内に間に合うか不安だったので
現役生の時に石膏にしました。
※石膏デッサンと言っても入試では石膏以外のモチーフが組み合わさることもあるので、
浪人してからさらにいろいろ経験して描けるようになりました。
Q. 石膏デッサンで得られたものを教えてください。
田中:形や印象を外さなくなったことです。
基礎がしっかりしてきたのがやってきて良かったことです。
※直前期のデッサン。
まだまだですが以前と比べたらフォルムのずれなどの違和感は少なくなってきましたね。
Q. 河合塾での受験対策どうでしたか?
田中:楽しいと思えるところを見つけたり、うまくやれる方法を発見することが出来ました。
※いろいろ見つけたんですね!よかったです!!
Q. 受験対策中で心に残っている出来事は?
田中:直前講習でタコの干物のモチーフが出た時、モチーフの足の曲がり具合に魅力を見出して今までの自分とは少し違う構図を見つけたことです。
※この色彩ですね。ダイナミックに花を取り巻く空間がいいですね!
構図などちょっとしたことでも本人とっては思い出に残るんですね。
でも田中さんもっとなんかいろいろありそうな気がしますけどね。笑
Q. 楽しかったなど思い出の課題は?
田中:チョコレートのパッケージを考える課題。この課題で自分のやりたい事が定まりました。
※この課題で田中さんオランジェットも自分で作ってきて楽しんでましたね。
完成度もあってとても素敵な作品でした!
この課題で将来やりたいことが定まっていたなんて!
なんでも楽しんでやれるのは強いですね。
※パッケージ課題をみんなの前でプレゼンする田中さん。
プレゼンは好きにならなくてもいいけど、大学、社会人になってもありますし、
アイデアを具現化するためだったり、他の人に自分のアイデアや想いを伝えて
最低限共感や理解してもらえるくらいには出来るといいですね。
ありがとうございました。今回はここまでです。
田中さん第二部はすぐにアップします。
お楽しみに!