家で自主的に実技をやれていない塾生の人たちへ。

家から出られない休みを逆に利用して、描きたいものをどんどん描けばいいと思うのですが、

もっとなんか出して欲しいとリクエストを何件かいただきまして、ならば!というブログです。

 

まずデッサンなどの基本となる

 

「球、立方体、円柱、円錐」の基本形体が白い台上に置かれている想定で描いてみてください。

 

形体の色は白色で光の方向は自由です。

形の成り立ちと光の方向の関係を理論的に考えて描いてください。理論的にです。

この課題ならモチーフも光の状態も問題ないです。

 

「え~~そんな課題かぁ。。。」って思ったあなた!

 

基本形体がちゃんと描けないということを認識して欲しいというのもあるし、

微妙な調子の変化を選んだり作れるようになるトレーニングにもなるから是非是非やって欲しいです。

後で基本形体の作例と応用の参考作品を掲載しますが、この基本的なことがしっかり高いレベルで出来ていると

いろいろなモチーフも高いレベルで表現できるようになるというのが分かると思います。

意外とこれ本当にちゃんと出来る人って少ないんですよね。

 

スポーツや音楽でも基礎ができてないと応用利かないから途中から伸びないんですよね。

あの那須川天心でも試合前はほぼ基礎トレーニングしかしないって何かのインタビューで言ってました。

基礎トレーニングをその後の応用まで考えながら高い意識で体に染み込むまで繰り返しやるのです。

それが試合の中での様々な状況に瞬時に対応できるようになれるからだそうです。

デッサンでいう基礎トレーニングの一つがこの課題です。

実際は頭も使いますが、頭で考えるより体が動くくらいの感じになるイメージです。

 

もちろん芸大受けない人もやってみてもいいと思います。

現役生もぜひやってみて!

 

下に基本形体の作例を添付しました。

作例の作品はBM画用紙に1つの形体が描かれたものを画像で4枚組み合わせたものです。

薄っすら4枚の境目が見えると思いますがそれなりの大きさなので

1つ描くのに講師が描いて2時間くらいかかってます。

形に対して色の濃さや変化の段階、いわゆる鉛筆の調子が合って見えるかすごくこだわってみてください。

あっと言う間に1日過ぎると思います。

離れてよく確認してね!

 

紙はM画じゃなくても良いです。無ければ紙の大きさも好きなサイズで良いですよ。

時間も自由なのでこだわれるだけこだわってやってみてください。

高いレベルで自然に仕上げるの結構難しいです。

いろいろなところに色が溜まって見えたり、紙白に対して回りこまなくて立体的に見えなかったり。

細かな黒溜まりも丁寧に練り消しで取ってあげて、

小さく調子が明るすぎた場所も丁寧に塗って綺麗に仕上げてください。

 

これが出来るとかなり物の見方や表現が変わるはずです。

入試直前になってもこれが自然に見えるように描けなかったり、この理論を曖昧にしてる人が結構います。

つまらないなって思うかもしれないけれど

このつまらない物すら表現できないと受験のデッサンでは何も通用しません。

綺麗にかけると結構これはこれで楽しいのでしっかりやってみて!笑

やったことある人ももっとレベル高く当たり前にかっこよく綺麗に基本形体描けれるようにしておいてください。

 

 

経験が少ない人もいると思うので少しだけアドバイスしますね

 

「球」

球は外形が正円です。そして球はどこも同じ張りなので角張って見えたり、凹んで見えたりしないよう

丁寧に調子をつないで球体を表してください。

およそ一方向からの光だと球は地球のように光半球と陰半球に分かれます。

宇宙に浮いている状態を描く訳ではないので地球や月の光半球と陰半球のようにパッキリ分けずにその間を自然に

グラデーションで繋いであげるのと、白い台の反射光を少し受けている感じにすると

二次元の中で三次元に見えやすいです。

見えない裏側の光半球と陰半球もイメージすると形のつながりが自然に行きます。

台に落ちる球の影もお忘れなく。楕円状に落ちます。影のキワも自然に見えるようにこだわってね。

 

「立方体」

勉強のために三面見える状態を描いてください。

三つの面で光の当たり方を考えてください。それによって色が変わります。

作例の場合だと光を受ける面が二面、陰の面が一面の光と立方体の関係になっています。

光の二面は全く同じ角度で光が当たると色が基本同じになるので横よりちょっとだけ上め

からの光を受けている設定にしてあるので上面の方が少し明るいです。

気をつけたいのは光の性質の二面の差より陰の性質の面との差が強く見えるようにです。

それから立方体のような直面でも白い台からの反射を受けるので一つの面の中にもわずかに調子の変化を

つけてあげると自然さや色の綺麗さが出ます。

 

「円柱」

光の受け方は立方体と同じように考えればOKです!でも上面は立方体と同じく平らだけど立面(側面)は

角がないので球体の時のようにグラデーションで上手く繋いであげてください。

円柱は上面と底面に正円があるのですが、画面上では楕円になります。少し見おろしているので、上面より

底面の楕円の方がわずかに楕円の丸みが大きくなります。横幅はもちろん変わりません。

底面は手前側しか見えないのですが両端の縁が角張ると形がおかしく見えるので気をつけてください。

もうわかってると思うけど台からの反射光と台に落ちる影も忘れないように。

そうそう、形は左右対称になるように作図してね。

 

「円錐」

円錐も左右対称になるように作図するのと、円柱と同じように底面の左右の縁が円柱よりさらに角張らない

ようにしないと底面がもともと正円のものに見えないです。

円錐の形状に沿うように中心は垂直、左右に徐々に斜めに描きましょう。円柱の応用です。

光、陰、反射光それぞれのエリアの形が三角形状に見えるようにです。それを自然に繋いであげましょう。

円錐は上が尖っていて裾が緩やかに広がっているのと台からの反射光の影響で下の方より上の方が

コントラストがより強くなります。台に落ちる影もお忘れなく。

 

授業だとレクチャーで色々な説明したり描いている途中でもアドバイスが出来ますが、今回のブログだと

これでもかなり大まかで簡単なアドバスなので伝えきれないことが沢山あるので、ほとんどの人は何かしら

おかしな形に見えていると思うし、どこまでこだわればいいのかが分からない人もいると思います。

なのでやっぱり塾で直接教えたいですね。授業始まったら必ず描いたものを持ってきてください。

できたらいろんな角度や光の方向を試して描いてみるとこれからの役に立つと思います!

 

で、これができてると

 

明らかにボールは球の応用ですよね。基本的なことわかっていないと意外と変なことになったりするんですよ。

 

わかってくるとりんごだっていろんな形体の応用だってわかるはず。

 

こんな形の瓶はどんな形体たちの応用かしら?

 

同じ瓶でも寝かしたらどうかしら?

モチーフ自体の形は変わらないけど光と陰のエリアが変わるよね。

 

 

下の石膏像も台座以外は基本形体の応用??って思うかもしれないけれど応用なんです。

デッサンでは形を理解しながら面の向きでの光の受け方を考えながら色と質を変化させていくのが基本に

なっているので応用なんですね。

だから二次元だけど三次元的な形や光や空間が感じられるのです。

もちろんもっと有機的で微妙な形があるので当然作業や表現も、より複雑になったりもしますが根本は同じです。

あと、基礎のところで綺麗に調子作ったり、選べれないとれないとこういうの描いた時にその出来てないことが

当然絵に現れます。

それは形や印象に対しての意識も同じで基本形体の形も精度上げれると意識も絵も変わると思います。

 

 

そのように考えていけば何でもそう見えてくるはず。

いろんな形状のモチーフが絡んでも当然同じ。そこに固有色と質が加わってきます。

複数のモチーフで構成されてる場合は一つのモチーフ中での距離感や光の差だけでなくモチーフ全体での

差の見え方も気にしたいですね。

実際の状態はCGで見られるような完全な一方向からの光ではなくもう少し複雑な光の状態なことが多いので、

絵になった時にどういう状態がベストかを考えて見た目の状態と基礎的な知識を組み合わせて描くことが

ほとんどではないかと思います。

慣れてくると今までは見えてなかった物の成り立ちや立体的な色の変化が目の前のモチーフを見ても

見えるようになってきますよ。

 

 

 

 

構成デッサンでも同じことです。知識をフルに活かして空間や物どうしの関係、光との関係を考えて

想像しよう。石膏像も同じだけど位置や向きによって二次元上での図は変わるけど、モチーフの元々の形

自体は変わらないからね。状態や向きによって光を受けるエリアや距離が変わるだけだからね!

 

 

 

 

形、空間、質、固有色などを基本を応用しながら描くというのがわかっていただけたでしょうか?

レベルが高く見えるデッサンは目の前のモチーフの成り立ちや関係に合わせて二次元になった時に

自然に見えるように上手いこと置き換えているのです。あとは形の印象のズレも少ないですよね。

こんな風に描けるか自信ない?

大丈夫!これからもよく話を聞いてやってくれればすぐ慣れます。

だから基本形体をまずしっかりやってみてください!

早くやれるようになった者勝ちだよ!

 

結局これがわかってないと結局色彩も上手くできないですしね。

 

頑張って!またね!