中学美術コースです。


一学期最後の授業は、「アニメ背景制作ワークショップ」でした。
特別講師をお迎えして、現場での生の声を聴かせていただきながら、筆使い・二種類の絵の具の使い分け・水分調整・物の印象の捉え方等々、具の濃い三時間となりました。


講師の方は 宮本澪 先生。
河合塾美術研究所新宿校から多摩美術大学日本画に進学。大学卒業後,ufotabieアニメ制作会社に入社。背景美術部門に所属され、第一期:TVアニメシリーズ鬼滅の刃、劇場版:鬼滅の刃(無限列車編)、劇場版 Fate/stay night [Heaven's Feel] 第三章 の制作に参加されています。
現在はアソビモ(株)・2Dデザイナーとしてアイコン・三面図作成・UIデザインなど幅広くお仕事をされています。
 
さて当日、学生も期待と緊張からか、早くから教室にて準備完了! よってチャイムのなる前から授業開始となりました。
「そもそもアニメの背景を描きたくて美大に行ったのではないが、結果的に予備校・大学にて【デジタルで描く】ではなく【手描きと目を鍛えたこと】によって今ではどんな仕事もこなせる」という宮本先生のお話を、自身の制作した背景画・プライベートに作成しているイラスト資料を解説していただきました。熱心に学生はきいていました。



いよいよ制作スタートです。
宮本先生がお持ちの見本を、先生と同じようにひとつひとつミッションをクリアして、完成させてゆきます。
①用紙全体に水を塗り、ポスターカラーで混色した絵の具をたっぷりのせ、その後水を含ませていない大きな刷毛で空のぼかし・グラデーションを作ってゆきます。
②大地の草の部分もポスターカラー絵の具をしっかり混ぜて空との地平線部分をにじませてゆきます。
③木や花の部分はアクリル絵の具を使用。木は影の色から大胆に塗ります。この時とても大事な事を言われていました。
「自然物は暖かいものなので影色には絶対に黒は混ぜないこと」
普段の授業でも言われていることですが、実際黒色の絵の具はおいていなかったので、みなしっかりと混色して、暗さを出していました。
④アクリル絵の具で木の細かな葉の様子も丁寧に描きこんでゆきます。
⑤雲は空の部分がポスターカラー絵の具なので、水を含ませたタオルで青色を拭き取り、白に少し水色を混ぜた絵の具をなじませて完成。

ここまでの行程を、最初に紙に含ませた水が乾かないうちにしなければなりません。



最後に作品を並べて宮本先生から講評をいただきました。
そしてようやく学生の緊張もとけ、質問もたくさんできたようです。




今のお仕事先には油絵出身の方もいるようです。絵が描けるということは色々な職種の可能性があるということでしょうかね。デジタルのみで絵を描かれている方も全くデジタルに興味のない方も、基本は【人の眼】だということ、忘れないでほしいです。

とても貴重な経験ができた一日でした。

宮本先生、ありがとうございました!