この時期は日本画科に限らず絵画科志望の学生が苦手とする「構造」をクロッキーを通して基礎を学ぶ授業がメインです。
今日は「鳩」をみんなでクロッキーしました。細かな描写をベースとする具象作品を多く目にすることが年々増えてきていますが、そういう絵にこそ基本的な構造を理解した視点を持ち合わせてないと見る人が見れば。。。ということにもなりかねません。そうならないために興味があるないに関わらずしっかり構造を理解しておくことをお勧めします!
構造という言葉を聞くだけで反射的に難しい。。と思ってしまう人も多いようですが、「仕組み」「成り立ち」と言い換えることも出来ます。つまり表面だけを頼りに観察するのではなく、どんな作りになっているかを理解し把握した上で描きましょうということです。





骨格
詳細な名称を記憶する必要はないと思いますが重要な骨がどのようについているか?関節はどちらに可動するのか?
あらかじめ知っておきましょう。人と鳥と比較して理解することが出来ます。
重心
人の場合は頭の真下に重心があると考えて良いと思いますが、鳥の場合は必ずしもそうではありません。
鳥の中でも歩行が得意な鳥と泳ぐのが得意な鳥では足の付く位置は様々ですが頭と尾と足の接点を結ぶ三点のバランスを見ると重心が安定します。









制作風景
鳩の可愛らしい仕草にときどき癒されながらも真剣に取り組んでいます。

動くものを描く
ふだん静物を描き慣れていると動くものを描く時には戸惑うこともあるかもしれません。それは知らず知らずのうちに写す癖がついてしまっているからです。画面に目を移してモチーフに戻るともうポーズが変わってしまって困ったということは描いたことがある人ならば誰でも経験したことあるでしょう。動くものを描く時は目の前のものを写しとるのではなく、バランス的にはこうなるだろうと予測して画面だけを見てペンを走らせるのがコツです。そのため「正中線」がどこになるのか、左右に同じ形が同じボリュームであるかの確認は欠かせません。たとえ画面上に描かれていなくても把握しておく必要があります。
このような『構造的な眼』を持つことで自然で生き生きとした生命感のある動きを自在に描くことも可能になっていきます。
写真を撮るように写し取るだけでは面白味に欠けると思います。絵はあくまで現実ではない嘘の世界です。嘘の世界がより説得力を持ち魅力的になるよう楽しんで学んでください。

生徒作品と講評風景