彫刻専攻 の記事一覧
模刻でも、また
今回は「模刻」の話です
が、またもや意味ありげな線がありますね、、、
今回も前回同様「形を合わせる」ことにフォーカスしていこうと思います。
ところで皆さん「模刻」はお好きですか?
まず「模刻」とは何かを書いていこうかと思います。。。
基本的には東京藝大二次試験でよく出題されるものなのですが、
石膏デッサンで使われるような石膏像を、水粘土をつかってそっくりに作る課題で、古代ギリシャやローマから受け継がれてきた彫刻から学び取っていく目的があります。
模刻を通してそういった過去の彫刻家達が何を見て、何を表現しようとしていたのかを少しずつ理解していくんですね。
しかし、藝大二次試験ではそれをわずか6時間でそっくりに作り変えるというかなりハードな課題になっています。
なかなかじっくりと石膏像たちを味わいこんでいられる課題ではないですね、、、
6時間は長いようでいて、あっという間に過ぎていきます。
受験生はその限られた時間の中で「どうやって6時間で作っていくか」ということを考えながらやっています。
そこで今回は、少し変わった模刻を試みました。
これは「アバタのヴィーナス」と呼ばれる石膏像。
このように縦横合計3本の線をぐるっと一周させています。この3本の線は何かというと、、
像を正面、後面、右面、左面、上面、下面の6面から見た中心線ですね。
その線を自分が作っている塑像にも引いて、それを基に作っていこうということです。
じゃあ、粘土の中心はどこにすればいいのでしょうか?
それは「芯棒」の中心を使っていきます。
こういった石膏像を模刻するときのほとんどの場合で、板から立てた芯棒なるものを中心として作っていきます。
ちなみに、横の中心線は頭のトップと下あごまでの距離の丁度真ん中になります。
石膏像にひかれた中心線と、芯棒の中心を合わせて考えようという基本的でありながらちょっと強行的な試みです。
もちろん
ガッチガチに測って、測って、測って、測って、測って、、、、、、、、
なんてことをしてもなかなか進まないし、彫刻本来の捉え方から離れてしまいます。
それでも、大きさとか、基準とか、、
簡単に合わせられる方がいいですよね。
そのためにも、「基準」となるものを自分で決めていくこと、探していくことを常に心がけていってください。
モチーフをしっかり観察することに合わせて、その周りのものをいかに利用してヒントを得ていくかも大事な技術の一つなのです!
クロフェス!
こんにちは!
みなさん、毎日暑いですね。
今日は夏期講習で行った全科合同『クロッキー・フェスティバル』略して『クロフェス』という授業について紹介させていただきます!
クロフェスって何?!と、思った方もいると思いますので説明させていただいますと、課題内容は簡単にいってしまえばムービングクロッキーです。(クロッキー=(仏: croquis)とは速写(速写画)とも言い、対象を素早く描画すること、またはそうして描かれた絵そのものを指す。主に動物や人体など動きのあるものを素早く捉える訓練として行われる。またタブロー(完成作品)へ昇華させるための習作として行われる場合もある。(wikipedia)
ムービングクロッキーとはモデルの方に常に動いていただいた状態で行うクロッキーのこと。)
その日に来ていただいたモデルさん二人は現役芸大生。
身体表現やパフォーマンスなどの活動をしている方で、このお二人にダンスパフォーマンスをしていただきながらそれらをクロッキーする、というものです。
全部で5ポーズと少ないながらも内容の濃いものになりました。
① ポーズめ、準備体操的な動き
② ポーズめ、ゆっくりなBGMとともに
③ ポーズめ、激しい動き
④ ポーズめ、種類の異なる椅子を用いて
⑤ ポーズめ、フレーム、フラフープ、ロープ等を用いて
ポーズ中にモデルさんがとんだりはねたりするのに生徒はビックリ。(笑)
最初は動いているものを捉えるのにかなり戸惑っていたようですが、最後にはなんとか形になっていきました。
こちらは講評風景です。
ムービングクロッキーは常に描く被写体が動いているので、「どうなっているのか?」ということを理解して観ないと描くことが出来ません。
実はこの『理解して観る』という行為は、動いていないモチーフを描く時にも重要な物の『観方』なのです。
今回のクロフェスを通して理解して観ることの大切さを体験してもらえたかな、と思いました。
夏も残り少なくなってきましたが、こうやって『観る』という力を伸ばしていただきたいと思います!
河合塾の生徒のみなさん、頑張りましょう!
夏期講習の最後、7ターム(8月25日〜30日)にも、人物クロッキーの講座があります。こちらはムービングクロッキーではありませんが、クロッキーに特化したタームになっており、二日ごとに受講することができます。
是非ご参加ください!
デスケルの使い方
ご無沙汰しております。
彫刻科です。
夏期講習が始まり二週間が経ちました。
今回の課題は「奴隷」のデッサンです。
「奴隷」のトルソはプロポーション合わせや構図取り、
そして特にあの激しい「動き」、
受験の中でも難しいモチーフの一つですね。
一度はあの動きを出すことに苦戦したことがあるんじゃないでしょうか!
そこで、そんな「奴隷」のデッサンを攻略するために今回は、、、
『デスケルの使い方』をご紹介していきます。
ちなみに皆さんは「デスケル」をご存知でしょうか?
受験でデッサンを経験している人はお馴染みな道具でしょう。
初めて見たとき、「ずるくない?」と思うくらい画期的に見える道具ですよね。
それでも意外と形が合わなかったりしませんか?
おそらくデスケルの使い方を十分理解していないのかもしれません。
【デスケルの使い方】
まずはグリッド(縦横の線)を画面に作ります。
と、言いましたが、線をガッツリ引く必要はありません。
これは個人的な好みではあるのですが、
画面の白をできる限り守るために、最小限に抑えていきます。
ほとんど見えませんね(笑)
わかりやすくすると、こんな感じです。
それでも、見ているのはこういうことです。
デスケル通り縦横3本ずつのグリッドをイメージしています。
そして、モチーフにも合わせてみましょう。
この時大切なのは、デスケルを覗くたびに、設定した位置がずれないようにすること。
「真ん中の交差点が、ちょうど乳首に重なる」とか
「三段目の交差点が、ちょうど肋骨の角に重なる」とか、
少なくとも、2~3は基準を作っておくと位置がズレずにデスケルを使えるでしょう。
では、
アタリをつけていきましょう。
アタリは「角の強いところ」を描いていくと、要点を押さえていきやすいですね。
ここまでなら経験者は慣れたものではないでしょうか?
ここで一度考えてほしいのが、
「どのタイミングまでデスケルを使えばいいのか。」
上の写真くらいまででしょうか?もっと描くまで使った方が良いのでしょうか?
タイミングは人それぞれあると思います。
しかし、よく言われませんか?
「デスケル使いすぎると、逆に合わないよ」なんてことを。
確かにデスケルはあくまで目安であって、頼りすぎはよくありません。
しかし、それなら「デスケルをやめるタイミング」とは一体どういう考え方で決めればいいのでしょうか?
だいぶ奴隷が見えてきました。
このくらい全体がつかめるまでデスケルを使うと、あることができるようになります。
それは、16当分された小さい四角のなかを見ていくことです。
こんな感じ
これだけ狭い範囲であれば、形の違いに気づけそうではないでしょうか?
木炭紙サイズの画面のなかで位置を確認してもなかなか合っているかわかりませんが、
ここまで細かくしてみれば、アタリがどこなのか、より高い精度で確認できます。
ここからが正念場!
ここまで進めてしまって「今更直したくない」なんて思う方も多いでしょう。
しかし、このタイミングできちんと直してしまえば、大きな狂いは未然に防げるでしょう。
ただ、あくまで二次元的な形を合わせたまでです。
ここに加えて三次元的に形を合わせられるかが、彫刻科のデッサンには求められます。
注意してほしいのが、
一度設定した構図が、デスケルを覗く度にズレていないか。
よくある失敗です。例え一度描き終えたアタリであっても、再度確認して最終的に全てのアタリの辻褄があっているかを確認するとよいでしょう。
デスケルにおいて、
より確実な使い方は
「デスケル覗く→アタリを描く→合っているか確認(違ったら直す→再び確認)」
といった手順でしょう。
確認せず「いいかんじ~」で終えてしまうと、結局後で形の違いが発覚します。
折角デスケルを使ったのに、それじゃもったいないですよね。
このように、
確認作業さえできてしまえば、どんなに激しい動きの像でも簡単に二次元的な形を合わせることができます。
なんだかんだ言って、結局は自分に合った使い方が一番です。
そのためにも、試行錯誤が大事になってきます。
ただ、どんな方法であっても「確認」して「直す」ことは必要不可欠なことです。
めげずに頑張りましょう!!
[日ゼミ・前半]
こんにちは!河合塾美術研究所では、毎年一学期に[日曜特化ゼミ(略して日ゼミと呼ばれています!)]という授業を行っています。
前半の二回は6月13日と20日に行いました!
第一回は「いろいろな表現で捉えるクロッキー」です。
人物クロッキーを通して、様々な表現方法を知り、色々な物の見方を知ろう!というものです。
表現の中では、・線で捉える・調子で捉える・シルエットで捉える、の3つについて学んでいただきました。
線で捉えるクロッキー一例↓
調子で捉えるクロッキー一例↓
シルエットで捉えるクロッキー一例↓
いろいろな表現で捉えてみると、いつもと違った視点で「ものらしさ」を見つけることができるはずです。
例えば、「シルエットで捉えるクロッキー」では、どういったシルエットの形が人の足らしいのか?腕らしいのか?などだけではなく、シルエットだけでも向きや方向なども感じさせることができる事に気が付けるはず。
当日はプロの男性モデルさんに来ていただいて制作しました。
筋肉質なモデルさんで、かなり動きがあるポーズもとっていただけました。とても描きごたえがあったと思います。
こちらは講評風景です!
たくさんの表現方法での、良いクロッキーがたくさん集まりました。
第二回では「墨で捉える石膏クロッキー」を行いました。
その名の通り、クロッキー帳に墨で描いていくのですが、これはかなり難易度が高い!
勿論墨は落ちないので、失敗ができないわけです。
「いかに的確に形のポイントをとらえられるか」が重要です。
まず授業の最初には講師のデモンストレーション。
少ない手数で石膏の形が見えてくるポイントや、気にしなければいけない特徴など説明。
生徒は食い入るように見ていました。
デモンストレーション後各自制作。
一時間程度で描く位置を変え、様々な方向で何枚も制作していただきました。
一方向で3・4枚描いている人もいたので、多い人は十枚以上クロッキーを描いたはずです。まさに、石膏特訓!な1日でした。
最後はみんなクタクタに疲労していたよう。(笑)
ですが、確実に一枚目より良くなっていたと思います!
勿論道具に慣れてきたこともあるとは思いますが、それぞれ生徒の中で石膏の形を捉えるときに重要なポイントを増やせたのではないでしょうか・・?
日ゼミの墨で捉える石膏クロッキーや、人物クロッキーを通して、デッサンの精度アップに繋げてもらえれば!と思います。
日ゼミ参加の皆様お疲れ様でした!
巨大彫刻、西新宿に現る
皆さん、ご無沙汰しております。
彫刻科(新宿校)です。
新年度が始まり、高校生、浪人生共々、
自分の志望する大学生への道のりがスタートします。
その為には、目標をしっかり定めることと、今の自分の位置を確認し、これから何をしていけばゴールへたどり着けるか明確にしていきましょう。
さて、今回はそんな大学入試からは少し離れた彫刻科をご紹介します。
先日行われたイベントの様子です。
学生、講師を交えて
『巨大彫刻』
を作ります!
何かが始まっています。
一体何をしているのでしょうか??
丸太...?
粘土が付き始めました。
どうやら塑造(粘土などで造形すること)をしているようですね。
写真からみてお分かりかと思いますが、かなりの大きさ!
丸太で......叩いています...!
勇ましいですね...!!!
これが巷で噂の、彫刻女子?!
(※一般の方には、丸太による塑造はおすすめしません。)
段々と姿が見えてきました
これは...
もしや...!
そう!亀ですね!
今回はガラパゴスゾウガメを彫刻致しました!!
総重量は200kgは超えているでしょう。
これだけの大物を、なんと6時間足らずで作り上げました...!!!
彫刻科が7,8人も揃えば、それだけの時間でここまで大きな作品をあっという間に作ってしまえるのです!!
受験とはまた違った彫刻ですが、
何もなかったところから一瞬にしてここまで存在感のある物を作れるのは面白いですね!
では、またお会いしましょう