ご無沙汰しております。
彫刻科です。

夏期講習が始まり二週間が経ちました。

今回の課題は「奴隷」のデッサンです。



「奴隷」のトルソはプロポーション合わせや構図取り、
そして特にあの激しい「動き」、
受験の中でも難しいモチーフの一つですね。
一度はあの動きを出すことに苦戦したことがあるんじゃないでしょうか!


そこで、そんな「奴隷」のデッサンを攻略するために今回は、、、

『デスケルの使い方』をご紹介していきます。



ちなみに皆さんは「デスケル」をご存知でしょうか?
受験でデッサンを経験している人はお馴染みな道具でしょう。

初めて見たとき、「ずるくない?」と思うくらい画期的に見える道具ですよね。
それでも意外と形が合わなかったりしませんか?
おそらくデスケルの使い方を十分理解していないのかもしれません。



【デスケルの使い方】

まずはグリッド(縦横の線)を画面に作ります。

と、言いましたが、線をガッツリ引く必要はありません。
これは個人的な好みではあるのですが、
画面の白をできる限り守るために、最小限に抑えていきます。


ほとんど見えませんね(笑)



わかりやすくすると、こんな感じです。
それでも、見ているのはこういうことです。



デスケル通り縦横3本ずつのグリッドをイメージしています。




そして、モチーフにも合わせてみましょう。

この時大切なのは、デスケルを覗くたびに、設定した位置がずれないようにすること。
「真ん中の交差点が、ちょうど乳首に重なる」とか
「三段目の交差点が、ちょうど肋骨の角に重なる」とか、
少なくとも、2~3は基準を作っておくと位置がズレずにデスケルを使えるでしょう。

では、
アタリをつけていきましょう。



アタリは「角の強いところ」を描いていくと、要点を押さえていきやすいですね。
ここまでなら経験者は慣れたものではないでしょうか?



ここで一度考えてほしいのが、

「どのタイミングまでデスケルを使えばいいのか。」

上の写真くらいまででしょうか?もっと描くまで使った方が良いのでしょうか?
タイミングは人それぞれあると思います。

しかし、よく言われませんか?
「デスケル使いすぎると、逆に合わないよ」なんてことを。
確かにデスケルはあくまで目安であって、頼りすぎはよくありません。
しかし、それなら「デスケルをやめるタイミング」とは一体どういう考え方で決めればいいのでしょうか?




だいぶ奴隷が見えてきました。
このくらい全体がつかめるまでデスケルを使うと、あることができるようになります。


それは、16当分された小さい四角のなかを見ていくことです。
こんな感じ





これだけ狭い範囲であれば、形の違いに気づけそうではないでしょうか?

木炭紙サイズの画面のなかで位置を確認してもなかなか合っているかわかりませんが、
ここまで細かくしてみれば、アタリがどこなのか、より高い精度で確認できます。

ここからが正念場!
ここまで進めてしまって「今更直したくない」なんて思う方も多いでしょう。
しかし、このタイミングできちんと直してしまえば、大きな狂いは未然に防げるでしょう。


ただ、あくまで二次元的な形を合わせたまでです。
ここに加えて三次元的に形を合わせられるかが、彫刻科のデッサンには求められます。




注意してほしいのが、
一度設定した構図が、デスケルを覗く度にズレていないか。
よくある失敗です。例え一度描き終えたアタリであっても、再度確認して最終的に全てのアタリの辻褄があっているかを確認するとよいでしょう。



デスケルにおいて、
より確実な使い方は
「デスケル覗く→アタリを描く→合っているか確認(違ったら直す→再び確認)」
といった手順でしょう。

確認せず「いいかんじ~」で終えてしまうと、結局後で形の違いが発覚します。
折角デスケルを使ったのに、それじゃもったいないですよね。

このように、
確認作業さえできてしまえば、どんなに激しい動きの像でも簡単に二次元的な形を合わせることができます。



なんだかんだ言って、結局は自分に合った使い方が一番です。
そのためにも、試行錯誤が大事になってきます。
ただ、どんな方法であっても「確認」して「直す」ことは必要不可欠なことです。
めげずに頑張りましょう!!