2020年05月 の記事一覧
【先端芸術表現専攻】 オンライン講評!
先端芸術表現専攻では、先週のオンライン面談に引き続き、今週はオンライン講評を実施しました。
始めるまではけっこう不安でした。どこまで講評できるのか?
作品を細部に至るまで直接見て、講評することを当然としてきましたので、オンラインの映像で、果たして有意義な講評ができるのか? やや懐疑的でした。
やってみました。
デッサン、絵画作品、写真作品、動画作品、立体作品・・・。
予想以上に、なかなか順調です。
作品と共に重要になってくるのが、学生のプレゼンテーションです。
オンラインで見る作品は、概要を講評するのに支障はないとはいえ、やはり「作品」を見ているというよりは「作品画像」を見ている、というのが率直的な印象。
それを補うのは、言葉による解説です。
コロナによる外出自粛によって、オンラインによる作品発表が各方面で試みられてきましたが、そこでも重要なのは、作品と共に、それを語る言葉だったように思われます。
先端芸術表現科の試験で課される「個人資料ファイル」も、実物の作品ではなく、作品画像を編集してファイル化し、それを言葉によって語ることが求められます。
オンライン講評、もしかして、先端科受験にぴったり?
作品を直接見せられない、見ることができない、という状況は、制作者、鑑賞者、双方にとって物足りなくはありますが、考えてみると、現在わたしたちが普通にウェブ上で行っていることでもあります。
直接講評の良さはもちろんのこと、オンライン講評の可能性をもう少し探ってみてもいいかもしれない、と思った今回の作品講評でした。
今後もいろいろな試みを続けていきます!
油絵科は休校でも制作・添削・講評は止まらない!
油絵科の皆さんは、いまイキイキと自分の思考を掘り下げられていることでしょう。
第1回課題もオンライン講評しました。
元気な姿が見ることができ、また次のオンライン講評も講師は楽しみにしています。
前回課題の[ニンニク]ですが、40分ほどの描き出しをしました。色などの話を講評でしましたよね。ちょっとだけ、参考にしてみてください。使用画材は、スケッチブック・鉛筆6B~4Hです。
また[ドローイング]の制作は常にしましょう。
武蔵美の版画、受験課題にも選択制作[ドローイング]あります。参考作品例も武蔵美から出されています。チェックしてください。
[ニンニク]課題、クリアの学生さんは、[ガラスのコップ]ですね。どのような状況にあると質感などベストな作品になるのか...
土曜日の講評が楽しみです。
油絵講師一同より
【先端芸術表現専攻】オンライン面談、やってみました!
本格的な受験対策に一日も早く取り組みたくてうずうずしている方もいれば、「ステイホーム」に慣れてきて、いまの生活にそれなりに順応している方もいるでしょう。
いつまでこのような日々がつづくのやら。
やる気のギアを入れようと思っても、いまひとつ身が入らない。
「授業が再開してからでも、まあ、いいか」ついそう思って、やるべきことを一日伸ばし、また一日伸ばし・・・。
そうはいっても受験は必ずやってきます。
毎年と同じように、今年も必ず受験当日が、忘れた頃にやってきます。
やっている人は、すでに本格的に取り組んでいます。
でも、やっぱり、自分一人だと、手応えがない。
それは受験生のみなさんだけでなく、講師陣も同じです。
受験生のみなさんも不安だと思いますが、講師陣も不安だったり、もやもやしています。
自分の考えを、アイディアを、誰かに伝えたいという思いで一杯です。
アート界でもオンライン上での取り組みが盛んに試みられていますが、こういう状況になって、制作とは、もちろん自分のためではあるが、人との関係のなかで育つものなのだなと再確認できます。
そういうわけで、Zoomを使ったオンラインでのクラス面談を実施しました。
4月から宿題をお送りし、そのやりとりはしていますが、やはり生の声が聞きたい。
いま、どんなことに取り組んでいるか、どんなことで困っているか、話をしたい。
オンライン上ですが、顔を見て、直接お話しするのは、やはりいいですね。
どのような日常のなかで、どんな課題に取り組み、制作ができているか。
予想以上に、みなさんしっかりと日々行動していて、こちらもうれしくなりました。塾生のみなさんも、他の受験生がどんな毎日を過ごしているかがわかって、気持ちが高まっていたようです。
授業再開までもうしばらくありますが、オンライン上でいろいろな試みをつづけていきますので、楽しみにしていてください!
【日本画専攻 自宅課題 レポート4】
こんにちは。日本画副主任の岩谷です。
自宅課題生活も、早ひと月半が経過しました。
長いと感じている人もいれば、もうそんなに経ったのかという人もいるでしょう。僕なんかは、なかなかない体験ということもあり、新しい発見もありつつの、割と充実した完全なる引きこもり生活でした。でもそろそろ外も恋しいですよね。
自宅課題講評プリント(150枚以上の作品が集まっています!)
日本画では4月から、皆さんにたくさんの自宅課題を出し、制作してもらいました。現在総作品150枚以上!みなさん本当に良くがんばりましたね。これ以降の課題作品も現在どんどん集まっています。残りの課題も集中して取り組んでいきましょう。
河合塾では、例年ひとりひとりに自宅課題を取り組ませていますが、かつてこんなにたくさん自宅で制作した年はあったでしょうか。自分でモチーフを用意して、部屋の環境を整えて、制作する。もはや作家の生活といっても良いでしょう。そういう意味では、予備校に通うだけでは得られない貴重な経験値を積めていると思います。講師陣で話し合いを重ねて考えた課題内容です。日常のありふれたもののなかに、美しさを見つけること、そして自分自身がどんなものに惹かれるのかを、自分で知ること。そうしたことを考える期間にして欲しいと思います。
もちろん皆さんの提出作品は講師全員がしっかり見ていますので、授業が始まったら各講師に詳しく話を聞いてみてくださいね。各講師のなかで、実演して見せないとなかなか伝えられないことなど、皆さんひとりひとりに対して、山積み状態に溜まっています。
現在、課題内でどう伝えようかとモチーフを考えたり、まとめたり、日本画講師陣も延期になっていた授業再開に向けて、着々と準備を進めています。授業再開の詳しいお知らせは河合塾美術HP等で行いますので、各自確認してください。
ただ、何より大事なのは体調管理です。授業始まったら体力が持たなくて、ダウン...なんてことになったら、大変です。今年は体力勝負の年でもあるので、今の期間にできる家での運動や、生活のリズム作りをきちんとしてください。 皆さんに4月に送ったスケジュールノート、活用できていますか?7月以降もスケジュール作りしてもらい、時々提出してもらいますからね?(小学生の夏休みの宿題みたいに、提出日前に全部埋めるなんてことにならないように!)
さらに、自己紹介カードも授業再開と同時に提出していただきます。
前回のブログでお知らせした、「おいしいものコンクール〜かわい食堂〜」も全科合同コンクールとして開催予定です。
(スケジュール帳作り、自己紹介カード、おいしいものコン)
授業再開に向けて、いろいろありますよ!うかうかしていられません。
こんな情勢なので、皆さんもいろいろな不安を抱えていると思います。「よりによってなんで、受験の年に...」と思ったりもするのも当然です。しかし、できてないことを考えるのはやめましょう。それよりも今日、どんなことができたか、にフォーカスする日々にしてください。課題にうまく取り組めない日もあるかと思います。だからといって、それはそれ。何か別のことができたと考えましょう。受験のことは、これからでも十分間に合います。そして結果は最後にならないとわかりません。今から最後のことを心配するのではなく、日々できることを自分なりに積み重ねていったという、達成感を持てる一年にしてください。
皆さんとお会いできるのを楽しみにしています!
映像専攻 武蔵美映像合格者再現作品解説 4
武蔵野美術大学映像学科合格者再現作品解説。第四弾も「間に身を置いて」がテーマだった2019年度の作品です。地面に落ちた蝉。それに近づくと突然鳴き出し、飛んでいく。極めて身近な出来事ですね。同じ経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。ただしそれだけでは、感覚テストの課題に応える映像作品としては成立させられない。では、そこから何を考察するか?それは暦や気温に押し流されるのではない、実感としての季節の推移です。これも決して独自性やヒネりのある視点ではありません。出来事そのものは実にシンプル。それが作品として成立して高く評価されたのは、そのシンプルな時間の流れを「重層」させたところにあると言って良いでしょう。この重なりが最大ポイントなのです。
蝉が飛び立つ小数点以下の瞬間、シーツが乾いていく數十分、数週間遅れでやってきた夏の終わり、幼年期から過ごしてきた自身の十数年。いくつかのそれぞれ尺度の違う変化が同時進行して、ほんの束の間交差する。そのひとときを切り取っているわけですね。だから決して、なんでもない時間ではないのです。普段は意識もせず流れていく出来事たちが、ある一点で、しつらえた事件性に頼らずに、カチッと合点する。丁寧な観察眼をもって日々を過ごせば、生活のなかにもこういった時間が存在していることに気づけるわけですね。
そして、画面。映像的な要素はどうでしょう。理科の授業で行われる解剖のような蝉の構造観察から、画面には描かれていない、その蝉が飛び去った先の晴れた空。微細な局所から広がりのある風景までをしっかりと押さえつつ、ささやかに画面左→右へと向けて風を吹かせています。
「わっ蝉生きてた!」というなんとも小さく、どこにでもありそうな出来事から、無理なくその周囲を想定する。それらが「時間、推移、変化」という主題のもとに絡み合うことで、言ってみればただ季節が移っていくという当たり前の事象を、これだけ重層的な映像で印象づけられる。画面左下にいる、まだまだ飛びたい蝉も、なんだか平べったくて愛嬌のある姿に思えてくる、そんな一作でしたね。
【基礎(中学)専攻】自宅課題のレクチャー動画作りました!
少しずつ夏が近づいている様に感じる今日この頃ですが、いかがお過ごしでしょうか。
ここ数日はずっと半袖で過ごしております、中学担当のやくしじです。
基礎科では今回の休校を受けて、カラーチャートや鉛筆デッサンなどの自宅課題を送っています。
塾生の皆さんはどうでしょうか、進んでいますか?
基礎専攻には初心者の人が多いので、家で1人でやるとなると分からない所などが出てきて困ることもあるかと思い、急遽レクチャー動画を作りました!
塾生の皆さんのみへの配信となりますが、一部静止画でご紹介しますね。
基本的な道具の説明から、デッサンの描き出しの進め方などを丁寧にレクチャーする内容になっています。
塾生の皆さんはぜひ参考にしてくださいね!
休み明けに皆さんとお会いするのを、講師一同楽しみにしています。
【 おいしいものコンクール 〜 かわい食堂〜 】
※「おいしいものコンクール」の企画を少し変更し、規模を拡大いたします!
こんにちは、日本画専攻です!
新型コロナウィルスによる緊急事態宣言で、この間河合塾でも休校が続いています。
2020年度春期講習から日本画主催で応募を開始している【おいしいものコンクール】ですが、
授業開始の変更から二度目の締め切り延長を受け、
日本画専攻の枠を外してどのような作品でも「美味しそう!!」と思えるものであれば、
形態は問わず応募しようということで、全専攻参加型Gallery Kart企画になりました!
着彩の細密作品だけではなく、立体作品もアニメーションなど何でもOKです!
展示の方法が特殊な場合は、提出時にお伝えください。
(※モニター等の用意はご自分でお願いいたします。他の人の迷惑にならないこと。本物の食べ物は不可です×)
ギャラリーカートでは、毎年講師と生徒、OBOG参加型のコンクールを行なっています。
昨年は【スポコン】(スポーツ)、その前は【にゃんコン】(ねこ)、【きのコン】(きのこ)【昆虫コン】(虫)...など様々なテーマでの作品展を行なってきました。今回は【おいしいものコンクール〜かわい食堂〜】ということで5回目になります。
今まで通り、自宅課題としてのおいしいもの細密作品は提出してください。
そして、一人何点でも構いませんので、色々な作品制作にチャレンジしてくださいね!
ここ数年ギャラリーカート主催の【〇〇コン】で大賞を取っているのは
なんとデザイン専攻の講師O先生です!なんて大人気ない!!!
みなさん、連覇を許してはなりません!
現在続々と作品が集まっています!
引き続き、どしどし素敵な「美味しそう!♪」と思う作品を、お待ちしています。
とはいえプライドを持って、OBOG、講師の大人気ない作品も勿論沢山お待ちしています!よ!
詳細はポスター及び以下をしっかりお読みください!
おいしいものコンクール 〜かわい食堂〜 詳細
Gallery Kart
■会期予定 2020.6.8 Mon - 6.28 Sun
■作品提出期間 〜 2020.6.7 Sun 15:00 (締め切り予定)
「 おいしいものコンクール 〜 かわい食堂 〜」は、日本画自宅課題コンクールより、全専攻に拡大して開催をすることになりました。
河合塾美術研究所全専攻の生徒・講師・職員・OBOGその他、新宿校に提出できる方ならどなたでも参加可能なコンクールです。
制作したものをギャラリーカートにて展示を行い、投票をして大賞を決めます!
絵画・彫刻・漫画・アニメーションなど、とにかく「美味しそう!!!」と唸らせられたら、なんでもOK!
食べ物にまつわる作品ならなんでもありの合同作品展です。
(本物の食べ物は不可ですよ×)細密作品も引き続き待っています!
みなさんで、かわい食堂のメニューを作りましょう!?
●参加資格
河合塾美術研究所在籍の生徒・講師・職員・OBOG / 美術研究所新宿校に搬入・搬出ができる方ならどなたでも
●賞品
大賞 ︎賞品贈呈 / その他 様々な賞を予定しています!
●作品形態
自由 ※展示中や搬入出で、他の人の手間や迷惑にならないもの
☆過去の作品の出品も大歓迎!
●出展方法
1. 作品の裏に、名前を必ず書く(分かる)ようにしてください。
2. 5月中も受け付けますが、その場合は教務受付にて、エントリーシートに記入の上、作品を提出してください。
郵送の場合は宛先を「おいしいものコンクール 宛」とし、返却時は取りに来ることとします。
名前や所属、タイトルを忘れずに記入してください。(宅配の場合は元払いのみ)
(住所 〒160-0023 東京都新宿区西新宿7-14-5 「河合塾美術研究所 新宿校 おいしいものコンクール 宛」)
3. 6月からの提出に関しては、各階に設置されているエントリーシートに記入の上、内生は各専攻講師へ、外部のかたは教務受付での提出をお願いいたします。
●採点方法
みなさんからの投票により、大賞を決定したいと思います!6月8日から21日の間で、一人3票の投票をお願いいたします。みなさんの表が一番多く集まった作品を大賞として、後日表彰式を行いたいと思います!
(表彰式の日程は、6月に授業が再開されてから改めてお伝えいたします)
引き続きtwitterやInstagramなどでのタグ付け投稿を行なった方には、提出時にここでしか手に入らないおいしいものシールと、ちょっとしたおやつをプレゼントいたします!
奮ってご参加ください!(提出の時に分かるようにしてくださいね♪)
ハッシュタグは →→ #2020河合塾美術おいしいものコンクール
映像専攻 武蔵美映像合格者再現作品解説 3
武蔵美映像合格者再現作品解説第三弾はこの作品です。2019年度、テーマは「間に身を置いて」でした。一見、極めて地味な見た目ですね。雨が降っている、そんな印象だけが伝わってきます。中身はというと、まさにその通り。雨が降っているだけなのです。夕立ちとその後の様子をバスの車窓から、ただただ緻密に丹念に追い続けています。何も起きない、起こさない。もしかしたら感覚テスト史上、最大級にミニマムな作品かもしれません。しかし読み進めるうちに見えてくるのは、最小限の場所と出来事から引き出される観察と考察、それが異常なほどにマキシマムであるという事実です。
窓の雨粒を見るのが好き、という作者の小さな嗜好からはじまりました。講師と話していくうちに、景色を移り変わらせる乗り物で動きを出そう、という発想が加わり、そのあとはご覧の通りの展開です。雨とバスしかないこの状況に具体的な皮フ感覚と臨場感を与えるため、あらゆる「五感」、つまり「感覚」が盛り込まれました。
車内には嗅覚が。ドアとエンジンからは聴覚。靴の中には触覚があり、数センチ先のガラス面への接写から数百キロ先の上空まで望遠される視覚も当然ありますね。靴下の温度、雨粒の行方、曇天から晴天へ。それらは時間と空間が推移するとともに極わずかに、あるいは大胆に変化していきます。まさに「感覚」にまつわる素材の全てが、「場所」と「出来事」のなかで、極めて丁寧に構成、編集されているわけです。
基本的に画面は、枠の中全体に渡って描かれたほうが見映えはもちろん良くなります。とはいえ場所と出来事がここまで削ぎ落とされると、どこの何にカメラを向ければ良いのか?その判断は難しくなってきます。しかし、その答えは明快でした。見たものを素直に真正面から描く。それはまるで、停車ボタンを押すのも忘れて窓枠にかじりつく園児の眼差しにも似た素直さです。密集する雨粒、しかし文字も密集する。ならばさっぱりと住み分けよう。これもまた素直すぎる判断によって、1/3の画面が描かれることとなったのでした。
誰しも経験したことがあろう日常のひとコマ。自身の「感覚」を伝える課題に、大袈裟な仕掛けは必要ありません。求められるのは「感覚」なのですから。それを「五感による観察と考察」と置き換えて解釈してもよいでしょう。日常だからこそ、その場所、出来事の只中にいる当事者としての真摯な観察が可能になり、それによって地に足のついた、それでいてロマンティックな考察が誘発されたわけです。最後は今夜の空模様に思いを馳せながら、夕立ちの残滓と戯れる微笑ましい所作で締めくくられます。その絶妙な時間表現によって、実に肯定的な心象をもって観終えられる一作となりました。
では合格者作品解説、次回もご期待ください!