河合塾美術研究所 新宿校 授業風景

油絵専攻 の記事一覧

gallery Kart「人体から学ぶもの-合同人物クロッキー&デッサン展-」

今年も始まりました!

入試課題でも人物が扱われることの多い、日本画・彫刻・油絵・先端の4専攻で、合同人物課題を行いました。

こちらで制作された、人物クロッキー&選抜デッサンの展示を行います!


「クロッキー」とは、
簡単に言うと速描きですが、主に動きのある動物、人物を描くことが多く、細かい描写というよりは対象の動きを正確に捉える事を目的としています。

それに加えて、「ドローイング」としての魅力、線の面白さや空間の美しさなど、人物自体の正確性を超えた、生きた線や画面感を追求することも大切です。

スケッチとも似ていますが、下絵というより、特に短い時間で描かれた、単独でも本画にも負けない絵としての魅力をたたえたものをクロッキーと呼びます。

そのために、短時間で対象と緊張感のあるやりとりができるための観察力を培っていきます。

今回は4専攻合同ですので、会う機会の少ない別の専攻の講師もそれぞれ指導を行いました。

普段と少し違った視点から見られることで新しい発見があったり、逆にいつもと同じことを言われたりして、専攻が違っても大切な普遍的なことに気づけるように、という2つの意図があります。

他専攻の講師や生徒から刺激を受けながら、それぞれが懸命に制作した作品をぜひご覧ください!



「人体から学ぶもの-合同人物クロッキー&デッサン展-」

2020年7月5日(日)〜7月18日(土)/入場無料
10:00〜18:00(会期中無休/日曜・最終日~16:00)

油絵科は休校でも制作・添削・講評は止まらない!

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2020年 05月 20日 13:24

油絵科の皆さんは、いまイキイキと自分の思考を掘り下げられていることでしょう。

第1回課題もオンライン講評しました。
元気な姿が見ることができ、また次のオンライン講評も講師は楽しみにしています。

前回課題の[ニンニク]ですが、40分ほどの描き出しをしました。色などの話を講評でしましたよね。ちょっとだけ、参考にしてみてください。使用画材は、スケッチブック・鉛筆6B~4Hです。

また[ドローイング]の制作は常にしましょう。
武蔵美の版画、受験課題にも選択制作[ドローイング]あります。参考作品例も武蔵美から出されています。チェックしてください。

[ニンニク]課題、クリアの学生さんは、[ガラスのコップ]ですね。どのような状況にあると質感などベストな作品になるのか...

土曜日の講評が楽しみです。

油絵講師一同より



*油絵専攻2020年度講師紹介*

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2020年 04月 12日 10:04

今年は開校が現在の社会情勢を鑑みて5月に見送られました。
声はお届けできないので、新宿校油絵専攻の各講師自身の入試直前当時に描いた作品を提供してもらいました。作品と各自己紹介のコメントと併せて、新学期開始までの様子見としましょう。主要メンバーは計6名です。



後列左から森彰男・中原拓也・堀啓至
前列左から山下宏子・野里佳永・薬師神知美


まずは、油絵専攻主任をしています、野里佳永(のざと かえ)です。



"中学から指導している学生さんは、お久しぶり!新規の学生さんは、はじめまして!ですね。あの頃は...といろいろ思い出されますが、どのような結果が出ても、2年先の覚悟を決めた時の作品です。哲学書も読みあさった時期でもありました。
常識を疑え!をモットーとしています。"


油絵専攻、基礎専攻高1・2コースで指導しています、森彰男(もり あきお)です。



"浪人中のコンクール作品がシミだらけで見つかりました。40年も昔の作品ですが、結構当時を思い出させてくれました。がむしゃらに手を動かす青春の日々...。浪人生活、きつかったけど有意義な時間を過ごさせていただきました。皆さんも貴重な時間をここでしっかりと見つめていきましょう。"


堀啓至(ほり けいし)です。主に本科を担当します。

"えーっと、受験生時代の作品紹介とのことですが、私は、大学に入り、自分の作品をつくりはじめた時、受験時代の作品を全て消却してしまいました。遠い昔の生意気で思い込みの激しい時代でした。今は、昔と違い、作家としての第一歩が、受験でも求められています。学生の皆さんは、ちゃんと後々まで残しておきたくなる作品をつくってくださいね。

  

、、と言う訳で、最近の作品画像になります。ギャラリーで発表したものの一部です。これで、ご容赦を。他の作品は、https://keishi-hori.com/ にあります。宜しかったら観てください。"


次に、中原拓也(なかはら たくや)です。



"僕は当時から研究が好きなわけでも、絵が好きなわけでも無いんですよね。昔から、人は全くの未知である死をどう受け入れるのだろう?ということだけに興味がありました。人と人、人間と自然、生命と環境の関係、そんな出会いの仕方というテーマはずっと一貫しています。僕にとっては絵と向き合うのは、結果、表れたかたちなのかもしれません。未だにわかりません。
ある時見たカナダの理論生物学者が目的論的生命論みたいなことを言っていて、「こんなことをやってもいいのか!」と感嘆したことがあります。そんな研究者同様、絵に携わる皆さんもきっとアクロバティックな発想を持っていることでしょう。"


油絵専攻と基礎専攻中学で指導しています薬師神知美(やくしじ ともみ)です。


  

"これを描いた当時は、家から40分ほど自転車を漕いで河合塾まで来ていました。
自転車を漕ぎながら周りの風景を見ながら、自分の絵のことをたくさん考えたなぁ...
今見ると画面がめちゃめちゃ暗くて驚きます笑
予備校でやるのは基本的には入試対策ですが、大学がゴールではなくその先まで考えられる様なサポートができたらなと思います。"


最後に、山下宏子(やました あつこ)です。
今回紹介するのは浪人生の時の作品です。

     

"浪人生の時は夏まで毎日バイトをして予備校代を貯めていました。いわゆる宅浪です。
その時はバイトから帰ったら、自分の部屋にイーゼルを立てて描いていました。家のものをモチーフにしてみたり...。自分で課題やモチーフを考えて、時間を計って描くのは勉強になったなぁと思います。
今コロナの時期に家で自分と対峙して描くのは一つ成長になるかもしれません。"


皆さん一様ではなくそれぞれに、抱えていた忸怩たる思いありますね。それが確実に今の個性になっていることが滲み出ています。油絵専攻では、背伸びをする、無理して個性を作る必要はありません。社会の速度が上がるにつれて、短期的に下される波のある周囲の評価から個性を求めがちですが、実際は、その中で今の自分を如何に認めるか、個性は常にその後からついてきます。
制作活動と受験時代という嵐の中にいても落ち着いた眼を養いましょう。

5月スタートに向けて、4月から最適な自宅課題を用意しています。詳細は校舎受付窓口、電話にてご確認ください。講師、スタッフ一同お待ちしています。

春だねぇ~③

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2020年 04月 04日 18:29

本日、春期最終日でした。
教室内では、間隔をとりながらの制作。
みんなよい作品描いていました。
ちょいちょいそのなかに混じって、武蔵美・多摩美 現役合格者、金沢美工・武蔵美 合格者が再現を描いてくれました。
ありがとう!

再現作品は河合塾内展示・入試資料集などで、みてください!

さてただいま自宅待機となっていますが、
河合塾では美味しいものコンクール、やっています。Twitterで確認してね。
そこで、自分なりにしばりをつけて、制作もよいかと。

「短時間デッサン」
絶対に鉛筆使わない、木炭だけのデッサンとか...

また河合塾はちょっと授業開始日がのびます。ホームページご確認くださいね。
油絵では宿題を出します。
内容はのちほど。

面談などはいつでも対応しますので、お問い合わせください。

いま、いろいろ頭の整理ができ、自分磨きができるときです。
まけない!君たちに会える日を楽しみにしてます。



油絵 野里

春だねぇ~②

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2020年 03月 30日 11:27

春期、いろいろありますが、地方学生と共に、木炭デッサンしました。

描き出し5分ほどです。

静物デッサンは、設置等の位置を注意して描いてみました。

炭の美しさ!パンとの相性!

描くたびに心動かされます。

描いた作品は地方に戻って勉強する学生さんに、あげています。

どこでもどんなところでも、がんばるヒト、応援させていただきます。


春だねぇ~①

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2020年 03月 29日 11:20

油絵の講師、野里です。
毎日、暖かい日が東京は続いていますね。

油絵では最初のイベントでは
「テンペラ画を描こう」

専攻別は
「ドローイングとは?」
を実施いたしました。

「テンペラを描こう」では、油彩の原点的な卵黄に顔料を混ぜた絵の具で、板に模写をしました。一番シンプルなバージョンでの制作。行程がわかるとおうちでも手軽に制作できます。

さて、「ドローイングとは」ですが、現役合格した芸大・多摩美学生に実際大学授業内で制作した1000枚ドローイングなども持参してもらい、参加者と一緒に制作。
ドローイング、スケッチ、ペインテイング...の境界線?など意見交換もしました。
この話は、これからも続く、長い旅の始まりを予感させる、良い空間作りに一役かっていました。

春期講習も受付中です。
運が良ければ、現役合格者の再現制作途中を目の当たりにできるかも。

お待ちしています。



新宿校 入試合格速報

河合塾美術研究所 合格者速報

※3月20日現在判明分

2020年度芸大入試合格速報!今年もたくさんの方々が志望校に合格しました!

特に日本画・芸術学は合格者数全国1位!!

武蔵野美術大学・多摩美術大学合格実績!

ムサタマ合格実績は新宿校のみの数値です。

志望コースの多くの方が武蔵野美大・多摩美大に合格されました!

合格されたみなさまおめでとうございます!

私大デザインクラス、映像科クラスは少人数ながら抜群の合格率を誇り、よろこびの声が続々と届いています。

よろこびの声は新宿校校舎にて掲示させて頂いています。

授業内芸大・私大素描コンクール実施

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2019年 12月 26日 09:51

12/24に授業の一貫でコンクールを行いました。




.........謎のモチーフですね、
プラネタリウムのプロジェクタに見立てて組み上げたモチーフだそうです。丸椅子同士を組み合わせ、積み重ねた台のさらに上に載せると、かなりの高さになります。
「モチーフを覗き込んで見えたものを描きなさい」
という課題で、これを木炭紙に素描で制作してもらいました。

この文中の「覗き込む」とは一体どんな行為でしょうか?

見ることは、肉眼で対象を捉えることに他なりませんが、
覗き込むと言った時に、「見る」という言葉以上に、近寄る、場合によっては登る、など、より深く目で見るまでに至る行為も含める意味が強くなります。
そういう覗き込むという体験を通して得られる景色には身体性を孕んでいることに対しての意識を問いたいと思いました。

受験において、このようにシビアな課題は出題の機会は少ないでしょう。
ただ忘れて欲しくないことでもあります。
観察、その行為自体は大切なことですが、自分が行為したことについて見つめ直す仕事も、絵を修練させるきっかけになります。



同時に私立大学入試のためのコンクールも行いました。
モチーフはオーソドックスな静物デッサン課題ですが、クサリや、1/2カットして、少し成長し膨らんだ白菜も、デッサンとなると少し曲者です。一つ一つ丁寧な観察が求められますが、静物デッサンとしての全体性から生まれてくる空間というのは完成に詰めていく上では必須です。



あぁ...よく見ると、質感も豊かで描きごたえありますね。

参加している人は皆伸び盛りという感じですね。熱心な人ほど変化が著しいです。
コンクールで順位を大まかにつけましたが、いやいやまだまだ分からない人たちで、皆さん期待の塊です!
自分の分からないことがあるということを認識したと言うことは、もう成長の7割は到達しています。そのあとは自ずと必要に駆られて知ることになります。私たち講師の言葉のどこかがそのきっかけの一つになれば幸いです。

油絵東京芸術大学実技模試-油彩-

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2019年 11月 10日 11:38


ここ数年、美大・芸大受験のための予備校では河合塾含め、おそらく全国的に、東京芸大模試の油彩を行うところは稀でした。油絵専攻なのに油絵の模試を行わず、模試もなく本番の、入学受験を迎えねばならない人は多くいます。何故でしょう?
理由の一つに上がるのは、

「油絵はお金(画材費)がかかる!」

これは確かに言えることかもしれません。受験にあたっての金銭的ハードルの高さは、多くの美大受験者が油絵に対して持つ印象でしょう。
また、東京芸術大学は入試の画面サイズが、F30(909×727mm)という大きな画面に変わりました。一次試験が倍版木炭紙(1000×650mm)に変わったのもまだ記憶に新しいことです。...お金が掛かる、、(掛けない方法は沢山ありますけどね)
がしかし、河合塾では今年復活を果たしました!!させることができました!

「自由」とは、不自由さを知ったのちに感得できる、
と言いあらわされることがあります。

課題は「自由に描きなさい。」
配布したモチーフはこれ↓


...さて、みなさんならどんなものを描きますか?
水の入った風船に何を見出しますか?
想像の選択領域が広すぎて、思い切った絵がイメージできなくなる人もいるでしょう。

11/3(日)〜4(月)に行われた模試には河合塾名古屋校からの作品も集まりました。
参加した人たちは、正しさのない課題に取り組むなかでも、その窮屈さから解放されて、あっこれじゃいけない!自分の絵が描けなくなる、って気付けた、ハッとする経験になったんじゃないかと思っています。表現して、それを誰かと共有したい、そんな絵が多くあるなか、講師側もポジティブに採点、評価することができました。
...かつ、辛口...合格圏内の評価は出しませんでした。

作品は全員分一点一点講評し、各自、問題点も明確になったと思います。

成長には謙虚であることが必要です。人に批難、指摘されても、自分の中の「正しさ」に辿り着くには、時に自身の信憑するものを強く拘泥し、そこに懐疑も抱き、自分のものさしを確実なものにしていく。

話を続け
自らの勇気と機知について
自分に話すように話し、
明快なことには、絵筆の調子も変わらないでしょう。

わからないことに目を向けてみて、
わからないなりにも、
「こうじゃないか?」
と見出したものをどれほど貪欲に貯め込んでいるか、
それを見ただけでも心に残るものがあります。

皆さんの作品を見せに来てください。


いきなりしょっぱな模試

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2019年 09月 06日 14:41

9月の頭に油絵専攻の東京芸術大学実技模試(素描)を実施しました。
無論、画面は特大の倍版木炭紙!!

近年、進路に関して、多様なカタチが取られるようになりましたね。
5年前と比べると、積極的な動機から私立大学進学を選択する人も見かけます。

今回は、とはいえ一番人気、東京芸術大学の油画専攻の一次試験を想定した模試です。
一番人気というだけあって、作品が一番並ぶのもこの大学の入試の特徴、多様で、合格する作品も、自ずと洗練されたものが並ぶようになります。



絵を描く上での研鑽の一つの手法として、たくさんの作品に触れることは、とても大事なことです。受験という括りにかかわらず、同時代に生きる人たちが、同じ問題に直面した時に、どんな視野を持って、どんな手段で、向き合うのか、触れることが、新たな発見につながり、新たな問題意識、制作のエネルギーを生むことがあります。

こういった経験を積み重ねていく上で、逆に自分の視界を限定して問題を排除し発見の芽を摘んでしまうのか、スコープを変え、発見する愉しさを感受する方へ足が向けられるようになるのか、様々あると思います。

参加した人たちの作品を並べて、評価を考える中で、結果としては私たち講師が思い描いた作品とは異なり、のびのびとした印象というよりは、思いのほか、閉塞的な作品が並んだかもしれません。実際、講評の会場には河合塾名古屋校での同一課題の参加者の作品も並んだところ、制作に対する熱量など、差が見受けられました。
私たち講師の期待の中でも、そんな作品の中から観者にとって汲み取る力を要する作品が多かったものの、中には潜在しているものがある深み、厚みを匂わす作品郡で、密かに生徒たちの成長を感じました。そして外部から受けに来た一般生の作品にもハッとさせられました。

自分が表現したいもの、と、表現されたものの一致を、絵を描いて間もない人の場合、意外と見過ごしがちで、自分の視点の中での表現されているものと表現したいものの折衷に閉じて制作を進めがちだけど、表現しているもの(主観のフレームを飛び越えていない)と表現されたもの(飛び越えた視点)が捉えられてこそ、初めて表現したいものが見えてくるとは思いませんか?



講評後、受験者たちも、ふつふつ煮えるものを温めているようでした。
11月油絵専攻の模試はまだ続きます。

やり残していることにトライしてみてください。